航空法施行規則の−部改正について

(航空整備士・指定航空従事者養成施設・認定事業場の確認主任者等)

T 背景

航空法の一部を改正する法律(平成11年法律第72号。以下「改正法」という。)により、航空機の最大離陸重量により一等航空整備士、二等航空整備士及び三等航空整備士の資格に区分されていた制度が、航空運送事業の用に適する航空機等の用途により一等航空整備士及び二等航空整備士の資格に区分する制度に改められ、また、保守及び運輸省令で定める軽微な修理を専門的に行う資格として一等航空運航整備士及び二等航空運航整備士の資格が創設されたことを受け、航空法施行規則(昭和27年運輸省令第56号。以下「規則」という。)を以下のとおり改正を行うこととする。

また、改正法等を受けて、指定航空従事者養成施設の一層の活用を図るため、当該施設の指定方法、基準等について合理化を図るほか、外国の資格証書から我が国の技能証明等への切替等航空従事者の資格関係に係る規則の規定について所要の改正を行うこととする。

さらに、改正法等を受け、認定事業場の確認主任者等についての規則の規定について所要の改正を行うこととする。

U 改正概要

1.航空整備士制度関連改正

  1. 耐空検査員の資格要件(規則第16条の4)

航空法(昭和27年法律第231号。以下「法」という。)第10条の2第1項の耐空検査員は、運輸省令で定める滑空機について@耐空証明を行うことができ(法第10条の2)、かつ、A修理改造検査を行うことができる(法第16条第2項)。

改正法により創設された一等航空運航整備士及び二等航空運航整備士の資格は、主として飛行前点検等の保守を専門に行う資格として規定したことから、当該資格に係る技能証明を有していることをもって法第10条の2の耐空検査員の資格には含めないこととする。

(2)「軽微な修理」の作業区分(規則第24条及びこの省令による改正後の規則(以下「新規則」という。)第57条の3)

一等航空運航整備士及び二等航空運航整備士の業務範囲として規定している法別表一等航空運航整備士の項及び二等航空運航整備士の項の「運輸省令で定める軽微な修理」として、当該運航整備士に飛行前点検等の保守及び簡易な修理を行わせる観点から、規則第24条第1項の「小修理」のうち、耐空性に軽微な影響を及ぼす複雑でない修理作業であって、当該作業の確認において動力装置の作動点検その他の複雑な点検を必要としないものとすることとする。例えば、航空機の運航問において、タイヤ(車輪)及び客室内の装備品の交換等の修理作業を行うものとする。

(3)技能証明等の年齢要件(規則第43条)

改正法を受けて、航空整備士の資格についての技能証明の年齢要件を定める必要があるが、改正法附則第2条第1項の規定、一等航空運航整備士及び二等航空運航整備士等の資格に対応する国際民間航空条約第1附属書に定める資格の年齢要件等を勘案し、以下のとおり定めることとする。

 

[改正後]    [改正前]

 一等航空整備士   20歳以上      一等航空整備士  21歳以上

 二等航空整備士   19歳以上      二等航空整備士  20歳以上

 一等舵空運航整備士 18歳以上      三等航空整備士  18歳以上

 二等航空運航整備士 18歳以上      航空工場整備士  21歳以上

 航空工場整備士   18歳以上

 

(4)技能証明についての限定の見直し(規則第53条)

  1. 法第25条第2項の技能証明についての等級の限定については、以下のとおり改正することとする。

イ 陸上・水上の区分の廃止

陸上航空機及び水上航空機についての構造上の差異は、胴体下部の形状等に認められるところであるが、整備に必要な知識・能力については特に大きな差異が認められないことから、改正法の施行にあわせて、陸上機及び水上機の区分については今後は行わないこととする。

ロ 単発・多発の区分の廃止

多発機についての整備に必要な知識・能力は、単発機に比し、複数の発動機の同調に係る整備等に認められるところであるが、その他についての差異は小さなものであることから、改正法の施行にあわせて、単発機及び多発機の区分については今後は行わないこととする。

ハ ピストン・タービンの区分の新設

近年の航空機は、技術の発達等によりピストン機に代わってタービン機が一段と増加してきていることから、整備実施者においてはピストン機の整備機会が減少してきているところである。しかしながら、飛行機等の受験者は、現在、ピストン及びタービンの区分がないことからピストン機についても知識を求められ、過大な負担を求められているところである。

かかる現状に鑑み、改正法の施行にあわせて、今後は回転翼航空機以外の航空機についても当該区分を設けることとする。

 

A 型式の限定(規則第54条)

 改正法を踏まえ、法第25条第2項の技能証明についての航空機の型式の限定については、型式ごとに整備に必要な知識及び能力についての差異の大きさを考慮して、以下のとおりとする。

 a.一等航空整備士及び一等航空運航整備士の資格

  イ 規則第57条の2に規定する航空機を実地試験で使用する場合には当該航空機の型式

  口 運輸大臣が指定する型式の航空機を実地試験で使用する場合には当該舵空機の型式

 b.二等航空整備士及び二等航空運航整備士の資格

 運輸大臣が指定する型式の航空機を実地試験で使用する場合には当 該航空機の型式

(5)業務の種類の限定の見直し(規則第55条)

航空工場整備士の資格の技能証明に係る法第25条第3項の業務の種類についての限定は、近年の当該業務の高度化及び専門化に対応するよう見直しを行い、機体関係、計器関係及び電気関係について以下のとおり分割することとする。

   機体関係――――→機体構造関係

            機体装備品関係

   計器関係――――→計器関係

            電子装備品関係

   電気関係――――→電気装備品関係

            無線通信機器関係

(6)「航空機の用途」について(新規則第57条の2)

 改正法により、二等航空整備士及び二等航空運航整備士の資格については航空運送事業の用に適さない航空機を対象としたことから、法別表の二等航空整備士及び二等航空運航整備士の項の「運輸省令で定める用途の航空機」として、附属書第1に規定する耐空類別が飛行機輸送C、飛行機輸送T、回転翼航空機輸送TA級及び回転翼航空機輸送TB級を定めることとする。

 

(7)整備規程(規則第214条)

 省令第214条第2号の整備規程における航空機の整備に従事する者の職務に係る事項について、三等航空整備士を削除し、一等航空運航整備士及び二等航空運航整備士を規定する。

 

(8)飛行経歴その他の経歴(規則別表第2)

改正法を踏まえ、法第26条第1項の飛行経歴その他の経歴として、国際民間航空条約第1附属書で定める整備経験を勘案し、以下の経験を求めることとする。また、効果的な訓練を行うことで整備の実務経験と同等以上の整備経験を確保できることから、当該訓練を行う指定された訓練の課程を修了した者については整備経験の期間を短縮できる。

[改正前]

一等航空整備士  3年以上

二等航空整備士  3年以上

三等航空整備士  1年以上

航空工場整備士  3年以上

   [改正後]

  一等航空整備士 4年以上ただし、指定された訓練課程修了者は2年以上

  二等航空整備士 3年以上 〃    1年以上

  一等航空運航整備士 2年以上 〃    1年以上

  二等航空運航整備士 2年以上 〃    1年以上

  航空工場整備士 2年以上 〃    1年以上

 

(9)試験の科目(規則別表第3)

運輸大臣が航空従事者技能証明を行うにあたり行う学科試験及び実地試験の科目について、改正法にあわせて、各技能証明に係る資格ごとに必要な知識及び能力の高度化及び専門化に対応した規定ぶりに改めることとする。

2.指定航空従事者養成施設関連改正

省 略

3.認定事業場関連改正

省 略

4.その他の改正

(1)発動機等の整備(規則第31条)

法第18条を受けて定める発動機等の使用時間及び整備の方法であって、オーバーホール以外の方法で整備する発動機等についての使用時間及び整備の方法として、当該発動機等を使用する本邦航空運送事業著の申請に係る負担を軽減する観点から、当該本邦航空運送事業者の整備規程に定める時間及び方法を追加することとする。

 

(2)航空機の整備又は改造後の確認(新規則第31条の2)

規定の明確化の観点から、法第19条第1項の確認について、航空機の整備又は改造の計画及び過程並びにその作業完了後の現状の検査について行うこととし、搭載用航空日誌に署名又は記名押印することにより行うことを省令に明記することとする。

(3)実地試験における模擬飛行装置の使用について(規則第46条の2)

性能の向上等により操縦士等の資格についての技能証明の実地試験の一部を行うことが可能な飛行訓練装置が出現してきたことから、当該装置を実地試験(例えば、「基本的な計器による飛行」といった科目)に使用することをができるよう改正する。

(4)外国の資格証明保持者の試験省略について(規則第50条)

@ 国際民間航空条約の締約国の資格証書を有する者に対する取り扱いと、   当該締約国であって個別に技能証明に関する相互承認を行う国との取り扱いを区分し、各々の試験の省略範囲を明確にする。具体的には、前者については航空法規を除き試験科目の全部又は一部の省略ができることとし、後者については試験の全部の省略ができることとする。また、計器飛行証明についても同様な扱いができるよう追加する。

A 現行規定中、国語の能力とは母国語(日本語)及び英語の能力であることを明確にする。

(5)技能証明の限定について(規則第53条)

動力滑空機は近年その機能が多様化し、飛行特性が相違するものが出てきた。現規定では、動力滑空機によっては不必要な飛行経歴及び実地試験科目を要求している場合があり、等級限定を見直すことにより適切な飛行 経歴及び実地試験科目を設定する。

(6)操縦教育を行う者の飛行経験について(規則第162条)

滑空機の操縦教育を行う操縦者の飛行経験として、1回の滑空が5、6分である滑空機の飛行環境の特殊性を考慮した場合、1年間に10時間を求めることは過大であることから、F A Aにおける規定を参考に、その他の航空機とは区分し「10回以上の滑空を含む2時間以上の飛行」とすることとする。

(7)受験の申請について(規則第168条第1項第3号)

「規制緩和推進3か年計画」(平成10年3月31日閣議決定)における「資格制度の横断的見直し」を踏まえ、運航管理者技能検定の申請にあたって、身体障害者等の受験の機会を明示的に保障する観点から、医師の診断書を申請事項として提出を求めないこととする。

(8)運航管理者に係る外国の資格証明保持者の試験省略について(規則第170条の5)

第50条の改正と同様の趣旨で改正することとする。

(9)規則別表第2について

動力滑空機の等級区分の変更に伴い、飛行経歴その他の経歴を整備することとする。

(10)規則別表第3について

動力滑空機の等級区分の変更に伴い、実地試験の科目を整備することとする。

 

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